味覚異常


味覚には「甘味」「塩辛味」「酸味」「苦味」と「うま味」という要素があります。例えば「塩味」であればナトリウムなどの物質が、口内にある味蕾という受容器で感知されて電気信号に変換され、神経を通って脳に伝達されることで味を感じます。味覚異常は味蕾など受容器の障害、末梢神経性障害、中枢神経性障害に分けられます。

 

受容器の障害は味蕾が多く存在する舌の炎症や味蕾の機能不全によって味覚細胞がうまくはたらくことができないことによります。舌の炎症は感染症のほか、貧血やむくみ、ドライマウスなど、味蕾の機能不全は亜鉛などの欠乏や老化が原因となることが多いです。


末梢神経性障害は味覚細胞から脳に伝達する神経の障害です。味覚は口腔の味覚細胞から顔面神経や舌咽神経によって延髄に伝達され、そこから視床を経由して大脳に送られます。

遠絡療法では神経の炎症や顔面神経麻痺、延髄など脳幹部の炎症によって生じると考えおり、糖尿病やウィルスによる感染、外傷、物理的な圧迫、血流不足などによる炎症が原因となります。その他、薬によっては味覚が損なわれるものもあります。


中枢神経性は頭部への外傷や脳梗塞、脳腫瘍、加齢などが要因になります。また、うつ病などの心因性のものもありますが、遠絡療法ではうつ病も視床や脳が影響していると考えることから、心因性の味覚異常も同じ部位が関連した症状であると考えます。

 

一般的には外傷や中枢性の味覚障害は治療困難であることが多く、その他の障害も炎症が慢性的になってくると回復がなかなか難しいのが現状です。

 

遠絡療法では、主に神経に関連する流れが滞ることによって神経が炎症を起こしていると考えています(この炎症は検査ではあらわれないものです)。経絡を応用した治療によって神経とその周囲の循環を改善し、炎症を抑えて組織の修復を速めることによって、ダメージを受けた神経や組織の回復を促します。

遠絡療法による治療法

 

味覚異常はどの科目を受診すればよいかわかりにくい症状ですが、まずは耳鼻咽喉科や口腔歯科などで相談してみてください。

糖尿病や脳卒中、比較的重い貧血の既往がある場合はかかりつけの先生に相談ください。腫瘍や内科的な疾患が原因となっている場合は手術や専門的な治療が必要ですし、亜鉛などの欠乏は最近よく話題にもなるますが亜鉛製剤などを処方してもらえます。

 

原因不明や経過観察とされる場合も少なくありませんが、この場合は味覚細胞の脱落や神経の炎症、脳幹や視床の障害と考えますが、一般的な医療ではこれらを直接治療する方法は存在しません。

 

遠絡療法では障害部位の血流と循環を改善することによって回復を促します。まず脳や視床、脳幹部、顔面神経などに血液を供給する血管(主に頚部の動脈)を拡張して血流を増やすことに加えて、細胞周囲の微小循環の活性化と血液を運び出す血管(主に頚部の静脈)の働きを高めて、それぞれの血流と循環状態の改善をはかります。さらに障害部位に対応した治療点を応用して、障害されている細胞に関係する流れの滞りを取り除き、炎症があればそれを抑えます。

細胞の脱落や変性、長期に及ぶ慢性的な炎症を起こしている場合は、回復するために時間がかかり、完全な回復はむずかしいかもしれませんが、いままでの経験ではある程度の味覚が回復することが少なくありません。

 

また日常生活の疲労やストレスは交感神経を興奮させて脳への血流を減らすことから、回復を速めるためには交感神経が興奮し続ける時間を少なくすることが大事で、これには趣味や好きなことをするなど心身がリラックスして副交感神経が高まることや適度な運動や規則正しい生活が効果的です。

 

遠絡療法では、中枢となる脳や脳幹(橋や延髄)、間脳の血流や循環を高めることにくわえて、原因となっている神経細胞に対応する治療点を利用してダメージの修復を促進しますので、日常生活を気をつけることと合わせることで、症状改善の可能性が高まります。