CRPS(複合性局所疼痛症候群)


骨折や捻挫などをきっかけに激痛を発症し、怪我だけでは説明できないような激しい痛みが続いてしまう慢性疼痛疾患です。注射や手術がきっかけとなったり、特に明確な原因がなくても発症することもあります。多くは手や足などの四肢に発症します。アロディニア(触っただけでも激痛を感じる)や強い腫れやむくみ、血行障害などを伴い、長期に渡ると爪や筋肉、皮膚などが萎縮してしまいます。この痛みは非常に強く、触ることや足を衝くこともできないことが少なくありません。


当院では、患部から脳までの神経の経路のどこかで強いダメージを受けたことによって、激しい痛みを発生させていると考えています。痛みの範囲が拡がったり、他の手足や全身にも痛みが出る場合は、脊髄や脳といった中枢神経に障害が発生しています。また、交感神経の異常が発生することによって血流障害が起こります。さまざまな要素が複合的に起こり悪循環を生じます。

まず、痛みの範囲や性状によってダメージを受けている神経の部位を判断します。傷ついた神経を回復するために、血流や回復のための物質の循環状態を改善し、神経のダメージを修復していきます。あわせて交感神経や脳の治療も行うことで全身を症状回復のための状態に導きます。遠絡療法では、患部とは離れた手足を治療に使うため、痛い場所を触る必要もありません。状態にもよりますが、多くの場合は3ヶ月程である程度の改善が見込めます。


痛みやしびれは身体の組織や神経が障害を受けたことによって感じる知覚であり、何らかの刺激によって発生した神経の興奮(電気信号)が脳に伝わることで「痛みやしびれ」として認識されます。

 

原因となる刺激を発生させるのは、脳までつながっている神経のいずれかの部分になりますが、大きく分けると次のようになります。

 

・全身(局所)にある侵害受容器(刺激のセンサー)

  ↓

・末梢神経(センサーと神経細胞をつなぐ線維(コード))

  ↓

・脊椎後根神経節(脊髄の根元にある神経の塊)

  ↓

・脊髄(脊柱の中を通る太い神経)

  ↓

・視床(全ての感覚の中継点)

  ↓

・脳(刺激を痛みやしびれと知覚する中枢)

 

遠絡療法では、上のいずれかの部分で神経が破壊されることによって発生する激痛を「神経線維破壊症候群」として定義しており、CRPSもこれに含みます。

 

一般の病院で考えられるCRPSは、上記のうち局所の侵害受容器と末梢神経の障害に該当します。

遠絡療法では一般的なCRPSに加えて、三叉神経痛や帯状疱疹後神経痛などの疾患、ケガは治っているはずなのに痛みが悪化していくような症状、線維筋痛症のような全身に発生する激痛、脳卒中の後遺症による痛み、原因がはっきりしないものの歩くと激痛が走る膝やかかとの痛みなどもこの神経線維破壊症候群と考えます。

 

神経線維破壊症候群は、触るなどの軽い刺激によっても激烈な痛みが生じるため、普通の生活ができなくなってしまうことが少なくありません。一般的には治癒が極めて難しい疼痛性疾患とされており、運悪くかかってしまった場合には日常生活におおきな支障を及ぼすことになります。

 

遠絡療法は当初からこの疾患の治療を得意としており、それは障害されている原因部位をしっかり鑑別できることと、障害が神経に関連する流れが滞ることによって発生している神経線維の炎症や破壊を、経絡を応用した治療によって神経とその周囲の循環を改善し炎症を抑えて組織の修復を速めるという治療が行えることによるものです。

遠絡療法による治療法

 

症状の発症の仕方や性状から障害されている部位を特定します。

  

局所性の症状(痛み受容器と局所の神経線維の破壊)の場合は、痛みのある部位が原因なので、局所に対応した治療点(遠絡では患部と離れている点)を利用することによって障害部位の循環を高めます。

 

これによって炎症を抑えるとともに神経線維の修復に必要な物質を十分に供給し、ダメージを受けている神経の修復を促していきます。(痛みのある部位に触らなくても治療できます。)

 

中枢性の症状(脊髄や視床、大脳)の場合は原因部位の鑑別が必要です。

 

はっきりした原因のない四肢の痛みの多くは脊髄が原因であることがわかっています。症状が1,2箇所ではなく全身であったり、あちこちにあるような場合は脊髄と脳の中継点である視床が障害されていることが考えられます。脳卒中の後遺症の麻痺と同じ部位に生じている激痛は大脳の神経線維が破壊されています。

遠絡療法では原因となっている神経の部位に対応する治療点を利用して神経の炎症やダメージの修復を促進します。

 

身体中をくまなく通っている経絡を応用するので、頭の中や脊髄という本当の中枢部の治療も行えることが最大の特長です。

 

とくに原因のはっきりしない四肢(肩とか肘、膝、股関節etc..)の痛みは脊髄に対する遠絡療法で改善することが多く、帯状疱疹後神経痛のような神経の障害についても破壊されている神経線維の全体の流れを回復させることで痛みの強さと範囲が小さくなっていきます。

 

遠絡療法は痛みのある部位に直接の刺激を加えることなく治療ができることが大きな特徴です。

  

CRPSは神経線維が破壊されてしまっている状態であるため、多くの場合修復に時間がかかります。

完治状態までには年単位が必要となりますが、日常生活に支障をきたさない程度に改善するのは、およそ3ヵ月くらいが目安となります。(この段階では神経が完全には修復されていないので継続的な治療が必要となります。)

 

一般的に薬剤や手術による治療も難しい疾患であることから、遠絡療法はとても効果的な治療法です。