線維筋痛症(FM)


線維筋痛症は一般的な検査をしても原因が見つからないにもかかわらず、全身の痛みやこわばり、睡眠障害、うつ状態などさまざまな症状が生じます。日本の人口の約1.6%、200万人がこの疾患または類似疾患を患っているという調査報告もあり、寝たきりを余儀なくされる重症から、我慢すれば日常生活は送ることができるという程度まで幅広いレベルと多岐にわたる症状によって多くの患者様を悩ましています。有名歌手のレディ・ガガさんがこの病気との闘病のために活動を休止したことも記憶に新しいところで、まだ認知度の低い線維筋痛に対する理解の普及につながることが望まれるところです。

 

この疾患の原因はまだよくわかっていませんが、脳や視床などの中枢神経系に機能障害が起きているとも考えられています。脳や視床は全身からの感覚の伝達を受けてその認識と抑制を行っていますが、何らかの原因でこの機能に誤作動が生じて過剰に認識したり抑制ができなくなると、通常では痛みを感じない程度の弱い刺激でも痛みを感じるようになります。中枢神経機能の誤作動が痛みの原因であるため、画像検査や血液検査をしても異常は見られません。中枢神経機能の誤作動がなぜ起こってしまうかは研究中ですが、最近ではウィルス感染やその他何らかの原因が引き金になって中枢神経系に対する自己免疫異常を発症し、中枢神経系が炎症を起こしている可能性があることがわかってきています。

 

線維筋痛症の主な症状は身体の全体や一部、移動したり変動するような強い痛みです。痛み以外の症状では、疲労感や倦怠感、しびれ、頭痛、こわばり、睡眠障害、めまい、うつ症状などさまざまな症状が現れることがあります。このような症状は慢性化しやすく日常生活に支障をきたすことも少なくありません。さらに周囲からの理解が得にくく悪循環に陥りやすいのが現状です。

 

遠絡療法では、全身の痛み、しびれの原因は主に全ての感覚の中継地点である視床が起こしている機能障害にあると考えています。何らかの原因(主に血流不足やウィルス感染)によって神経細胞に関連する流れが滞り、炎症を起こし、機能異常が生じています。(この炎症は検査ではあらわれないものです。)視床は脊髄全体と関与しているので、身体中のどの部位にも症状が現れる可能性があり、炎症の程度によって症状の強さも変化します。疲労感や倦怠感、睡眠障害、うつ症状は視床のすぐ近くにある視床下部、頭痛やめまいは脳幹や頚髄が機能障害を起こしていることによって起こります。遠絡療法では経絡を応用した治療によって、障害されている神経とその周囲の循環を改善し、炎症を抑えて組織の修復を速めていきます。

 

遠絡療法による治療法

 

症状の発症の仕方や性状から障害されている部位を特定します。

 

はっきりした原因のない四肢の痛みの多くは脊髄が原因であり、症状が1,2箇所ではなく全身であったり、あちこちにあるような場合は脊髄と脳の中継点である視床が障害されていることが考えられます。そこで遠絡療法では、まず脳に血液を供給する血管(主に頚部の動脈)を拡張して血流を増やすことに加えて、脳および脳幹の細胞周囲の微小循環の活性化と脳から血液を運び出す血管(主に頚部の静脈)の働きを高めて、脳・視床・脳幹の血流と循環状態の改善をはかります。さらに障害部位に対応した治療点を応用して、視床、視床下部の神経細胞に関係する流れの滞りを取り除き、炎症があればそれを抑えます。

 

視床、視床下部は脳の奥に存在する為、炎症を抑えるために少し時間がかかりますが、ほとんどの場合で改善が期待できます。軽度の場合は数回の治療で改善を実感できることも多いです。(重症の場合は通院自体が困難なため治療も難しいですが、薬物療法などと併用することで少しずつ改善することはできます)

 

日常生活の疲労やストレスは交感神経を興奮させて脳への血流を減らすことから、回復を速めるためには交感神経が興奮し続ける時間を少なくすることが大事で、これには趣味や好きなことをするなど心身がリラックスして副交感神経が高まることや適度な運動や規則正しい生活が効果的です(運動などは症状を悪化させない範囲で行います)。遠絡療法では原因となっている視床、視床下部、脳幹、頸椎の神経に対応する治療点を利用して、神経細胞の循環不全や炎症の除去、ダメージの修復を促進しますので、日常生活を気をつけることと合わせることで、効果的に症状を改善させることができます。

 

また、遠絡療法は副作用がない治療のため、ペインクリニックや神経内科で処方される内服薬を服用しながらでも並行して治療を行うことができます。多くの場合、症状の改善度合いをみながら減薬ができています。