脊柱管狭窄症


腰部脊柱管狭窄症は加齢など様々な原因で骨・関節・椎間板・靭帯などが肥厚し、脊髄の通りみちである脊柱管が狭くなることにより神経が圧迫され、血行が悪くなることによって症状が出る病気と考えられています。腰椎椎間板ヘルニアと同様に坐骨神経痛を引き起こす病気の一つでもあります。

 

症状の特徴の一つとして間欠性跛行があります。これは歩くと下肢のしびれや痛みが強くなるために、休み休みでないと歩くことができない症状です。重度の方では2,3分ずつしか歩けないこともあります。座ったり前かがみになって休むことで狭くなっている脊柱管が広がって一時的に症状が緩和しますが、立位や同じ姿勢を続けると再び症状が出てきます。歩けなくても自転車は大丈夫な場合が多いです。楽な姿勢で安静にしていると症状はありませんが、腰を後屈(後ろにそらす)することで症状が出たり悪化します。このような症状は血管性の疾患や筋・筋膜性の疾患によっても起こりうるので鑑別が必要となります。

 

神経のどの部分が圧迫されているかによって症状が異なります。

脊柱管の内部で馬尾神経を圧迫すると両側性にしびれや冷え、こわばり、排尿や排便の障害となります。脊柱管の出口から脊椎1つごとに出ている脊椎神経の根本(脊椎神経根)を圧迫すると片側の臀部から足にかけて強い痛みやこわばりが出ます。さらにこれらが複合することもあります。MRIなどの画像検査や理学検査によって診断され、薬やリハビリによる保存療法を行っても改善されず、排尿や排便の障害や下肢の筋力低下が出てくると手術を勧められることになります。

 

遠絡療法では画像所見は参考としますが、いままでの経験から画像による状態と症状が一致しないことが少なくないため、基本的には発生している症状によって神経の状態を鑑別します。

 

脊柱管狭窄症の一般的な症状(下肢のしびれ、痛み、こわばり、感覚異常等)の場合には、慢性的な脊髄の炎症(腰椎レベルのことが多いですが、胸椎レベルが原因の事もあります)が大元の原因にあり、それが各レベルの脊椎神経根に広がっている状態にあることがほとんどです。この原因の鑑別はいままで遠絡療法によって蓄積されてきたデータを基に行いますが、症状の出ている経絡・部位・症状の性質などからかなり正確に導かれ、実際にその原因を治療することで症状が改善する場合がほとんどです。

遠絡療法による治療法

 

症状の発症の仕方や性状から障害されている部位を特定します。

 

基本的に中枢性の症状であり、下肢の痛みは脊髄が原因、しびれは脊髄と患部の間の神経線維(脊椎神経)が原因と考えます。おおよそ下肢の外側や後面の症状は腰椎レベルの障害、前面の症状は胸椎レベルの障害、内側の症状は仙椎レベルの障害であることがわかっています。症状が下肢の全周性や両側性の場合、あちこちに移動するような場合は脊髄、脊椎神経が広範囲に障害されています。

 

多くの場合は神経の炎症が慢性化しているため、これを抑えるのには時間がかかります。

また日常生活の中の姿勢や動作が神経への負荷になっているので、症状の進行を防ぎ、回復を速めるためには症状が悪化する状況をできるだけ少なくすることが大事です。

遠絡療法では原因となっている神経の部位に対応する治療点を利用して神経の炎症やダメージの修復を促進しますので、日常生活を気をつけることと合わせることで、保存的に症状を改善させることができます。

 

実際に治療を開始すると、治療による炎症抑制と慢性的な炎症および日常生活動作によって発生する炎症との綱引きになります。治療後はいったん良くなって、その後時間が経つと良くなったり悪くなったりを繰り返しながら症状が出にくくなり、出る症状も弱くなっていくという経過をすることが多いです。完治状態になるには半年~1年くらいが目安になりますが、生活に支障をきたすような症状自体の改善は、1~3か月で実感されることがほとんどです。

 

手術を躊躇している場合や手術後にも症状が残ってしまっている場合には、ぜひ治療法のひとつとして検討ください。