舌痛症


舌や唇、口の中の粘膜、歯茎などがヒリヒリ痛む、皮がむけている感じがする、ざらざらして痛い、感覚がおかしい、などというような症状があるものの、病院などで検査を受けてみると原因がはっきりしないような場合に舌痛症といわれます。

歯科での処置後や放射線治療後に異常が出てきたと表現されることが多いように感じますが、特にきっかけとなるようなこともなく発症したり、ストレスによって起こることもあるため、原因はわかっていないのが実際です。外見上は口腔内に異常がなく、症状だけ存在することから、近年では神経の中枢レベルでの障害として考えられることもあります。

 

痛みやしびれは身体の組織や神経が障害を受けたことによって感じる知覚であり、何らかの刺激によって発生した神経の興奮(電気信号)が脳に伝わることで「痛みやしびれ」として認識されます。原因となる刺激を発生させるのは各部位にある侵害受容器(刺激のセンサー)、神経線維(侵害受容器と神経細胞をつなぐコード)、脊椎後根神経節(侵害受容器と脊髄の間の中継点)、脊髄(身体の各部位からの刺激をまとめる太い神経)、視床(脊髄と脳の中継点)、脳(刺激を痛みやしびれと知覚する神経)となります。遠絡療法では侵害受容器の障害は局所性の症状、それ以降の神経の障害は中枢の症状として考えます。

 

局所性の症状は手術や放射線治療、歯科治療、外傷、感染などが原因で口腔粘膜組織が傷害された場合が中心で原因がはっきりしています。

 

中枢性の症状は神経の伝達路が障害を受けて痛みやしびれが発生しているものです。局所性と同様に手術や放射線、歯科治療、外傷、感染の他に、内分泌や代謝の異常、原因不明の神経痛などが考えられます。このうち三叉神経痛や舌咽神経痛などは痛みの特徴が異なります。(三叉神経痛などはものを噛んだり、飲食物が触れると激しい激痛が生じます。)原因不明の痛みとされるのは、主に視床や視床下部、大脳の障害が原因となっているものと考えます。

 

遠絡療法では神経に関連する流れが滞ることによって神経が炎症を起こしていると考えています(この炎症は検査ではあらわれないものです)。経絡を応用した治療によって神経とその周囲の循環を改善し、炎症を抑えて組織の修復を速めることによって、ダメージを受けた細胞を回復させて症状の改善をしていきます。

 

遠絡療法による治療法

 

症状の発症の仕方や性状から障害されている部位を特定します。

 

局所性の症状の場合は原因がはっきりしているので、原因に応じた病院や歯科医院で治療を受けるのが適切です。ただし手術後に残存した痛みは難治性であることが多く、遠絡療法が得意とする症状の1つです。原因部位に対応した治療点(遠絡では患部と離れている点)を利用することによって障害部位の循環を高めます。これによって炎症を抑えるとともに修復に必要な物質を十分に供給することができ、局所の神経の障害の回復を速めます。

 

中枢性の症状の場合は原因部位の鑑別が必要です。三叉神経痛や舌咽神経痛の場合は炎症や圧迫を受けている神経とその中枢である脳幹部に対応した治療点を用いて治療します。当該部位の血流や循環を改善することによって神経の炎症や圧迫を抑えて症状を改善します。

 

はっきりした原因のない舌の痛みは視床や視床下部および大脳の神経が循環不全により炎症を起こしていることが原因と考えます。中枢性の痛みやしびれは症状のある部位と原因部位が異なるため外見からは判断できず、多くの場合は一般的な消炎鎮痛薬が効きません。舌痛症に関しては抗うつ薬が効くことがありますが、比較的長期間飲み続ける必要があります。

 

遠絡療法では原因となっている視床や視床下部、大脳に対応する治療点を利用して神経の炎症やダメージの修復を促進します。身体中をくまなく通っていると考えられている経絡を応用するので頭の中の治療も行えることが最大の特長です。

場合によっては1~数回の治療で改善してしまうこともありますが、舌痛症の症状は神経の線維が炎症によって破壊されてしまっていることによると考えられるため、障害された神経線維の回復に時間がかかることが少なくありません。神経線維が破壊されている場合、完全治癒までの目安は1年単位となりますが、治療を続けることで段階的に回復していきますので、痛みやしびれの症状自体は1~3ヶ月くらいである程度の緩和がみられます。