膝の痛み


膝の痛みには膝関節の組織自体の障害による局所性の痛みと腰などの障害が原因としておこる中枢性の痛みがあります。

膝関節は体重を支える関節であり負荷によってダメージを受けやすいことから、関節の炎症や変形が起こる(変形性)膝関節症は膝関節痛の主な原因となります。

 

その症状は主に片側の膝関節の痛み、腫れ、水が溜まる、膝が曲がらない等で、だいたいが決まった動きや体重をかけた時の軽度の痛みから始まり、慢性化すると関節の軟骨が減り、骨が変形して痛みと可動制限が起こります。膝関節にある半月板や靭帯が損傷すると、急に膝が抜けるような感じで歩けなくなったり、激痛のために動かすこともできなくなることもあります。局所的な原因は日常生活の慢性的な負荷やスポーツなどの強い負荷や怪我などが主なもので、特に日常的な負荷による慢性的な症状は中高齢者の多くが悩む症状といえます。

 

成長期に多い膝の痛み(オスグッド病)は、筋肉や骨の発育バランスの乱れ(部活動などの高強度の運動や成長ホルモンの分泌状態などによって影響を受けます)が主な原因といえますので、局所性と中枢性が共に関与します。局所的には膝周囲の骨や大腿部の筋肉などの使いすぎによる炎症であり、中枢的には視床下部や脳下垂体といった脳内の内分泌中枢の乱れによる機能低下です。視床下部や脳下垂体はストレスや睡眠不足などにも大きく影響を受ける部位です。

 

中枢性の痛みの主な原因は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などによって起こる腰椎や仙椎の神経の障害で、膝に局所性の痛みと同じような痛みが発生します。局所性の原因では片側の痛みで変形や腫れを伴っていることがほとんどですが、中枢性の痛みは腫れや変形などがみられないことが多く、両側性に生じることもあります。

 

遠絡療法においては物理的な神経の圧迫がなくても炎症が起こっていれば症状が発生すると考えますので、画像上は椎間板ヘルニアや狭窄がなくても中枢性の原因による痛みであることは少なくありません。この場合の原因は腰の脊髄や脊髄神経の炎症であり、膝関節自体の障害はありませんので、原因不明とされたり通常の治療でよくならないことが多いです。この状態のまま症状が慢性化すると、痛みによって関節の血流などが低下して結果的に変形性膝関節症も併発してしまう場合もありますので、原因部位に対する早い治療が必要です。

 

遠絡療法では神経に関連する流れが滞ることによって神経が炎症を起こしていると考えていますので(この炎症は検査ではあらわれないものです)、経絡を応用した治療によって神経とその周囲の循環を改善し、炎症を抑えて組織の修復を速めていきます。

 

遠絡療法による治療法

 

症状の発症の仕方や性状から障害されている部位を特定します。

 

局所性の症状の場合は痛みのある部位が原因なので、原因部位に対応した治療点(遠絡では患部と離れている点)を利用することによって障害部位の循環を高めます。これによって炎症を抑えるとともに修復に必要な物質を十分に供給することができます。遠絡療法を行うと怪我などの場合も早く治ります。炎症の原因がスポーツなどによる負荷や日常的な負荷であれば、炎症が抑まるまではできるだけの免荷もしたほうが治癒が早いです。

 

中枢性の症状の場合は原因部位の鑑別が必要です。はっきりした原因のない膝の痛みの多くは腰椎・仙椎レベルの脊髄が原因であることがわかっています。中枢性の痛みは症状のある部位と原因部位が異なるため外見からは判断できず、多くの場合は薬や注射、物理療法などの一般的な治療の効果は出にくいといえます。

 

遠絡療法では原因となっている神経の部位に対応する治療点を利用して中枢神経の炎症やダメージの修復を促進します。治療点の使い方(選び方と押し方)によって炎症を取り除いたり流れを再建したりすることができますので、さまざまな障害の程度に対応できます。さらに身体中をくまなく通っていると考えられている経絡を応用するので頭の中や脊椎の中という本当の中枢部の治療も行えることが最大の特長です。

 

膝の痛みは腰椎レベルや仙椎レベルの脊髄に対する遠絡療法で改善することが多く、1~数回の治療で十分なことも少なくありません。さらに脳内の視床下部や脳下垂体(自律神経やホルモン分泌の中枢)に対応する経絡の流れを高めることによって、細胞の機能が向上し、全身性に治癒力や回復力、活力を高め、バランスを整えていきます。

 

しかしながら痛みの症状が長期にわたり炎症が慢性化している場合、膝関節にも局所的な炎症や骨や靭帯の変性が起こってしまっている場合には改善に時間がかかります。MRIやCT、その他神経学的な検査で原因がわからない場合や、原因がわかっていても保存療法でなんとかしたいという希望をお持ちの場合は、早めに治療にかかることをおすすめいたします。