筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CFS)の治療


筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群は、脳と中枢神経の機能障害によって起こる多系統にわたる慢性疾患です。

 

激しい疲労や衰弱、睡眠障害を中心に、免疫障害、神経機能障害、認知機能障害、自律神経障害、全身の筋肉痛や関節痛などが引き起こされ、日常生活に重大な支障をきたします。症状の範囲や重さは個々に異なり極めて複雑です。休みながらであれば簡単な家事や労働は何とかできる軽~中等度の場合は、外見からはわからないために周囲の理解が得られないことも多くあります。

 

病態は細胞のエネルギー代謝と自律神経系、免疫系、内分泌系等の調節障害といえます。また、全身の痛みを主訴とした線維筋痛症を合併する方も少なくありません。

 

発症の機序や原因はいまだ不明であり、問題を起こしている部位も解明されてはおりませんが、機能的MRIやPETなどの画像検査から、脳内の部位(間脳(視床や視床下部)、扁桃体、海馬等々)に神経炎症が生じていることが見つかっていて、その炎症部位と各症状が関連していると考えられています。

 

特に間脳や脳幹は、身体の生理的機能の中枢であるため、この部位の障害によってさまざまな症状が現れると考えられます。

さらに自律神経(交感神経・副交感神経)の調節障害もほとんどの方にみられます。

自律神経は、多くの内臓や感覚器を調整しているため、血圧や呼吸、消化器症状、排泄障害、視覚や聴覚、味覚、唾液腺等々に多様な症状が起こります。

 

 

遠絡療法の治療では、

原因となっている部位にアプローチすることが必要です。

主な治療ターゲットは大脳、間脳、脳幹、頚髄および自律神経系(脳幹、頚椎、胸椎、腰椎、仙椎)です。

 

当院でおこなう遠絡療法は、経絡の応用によって脳の深部や脊髄までアプローチすることができるので、一般的には治療困難な原因部位に対応できます。

 

各部位の循環を改善し、回復のために必要な物質を十分に供給し、炎症や修復によって発生した代謝産物をきれいに流し去ることによって炎症を抑え、細胞の機能を回復していきます。

 

また、必要に応じて全身の末梢神経や筋肉、リンパ系などの循環の調整をあわせることによって、体全体のはたらきを整えていきます。

 

 

 

 

 

 

筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CFS)は、何らかの原因によって脳内に神経炎症が生じ、それが全身のさまざまな系統に波及している極めて複雑な病態と考えています。当院では原因部位に重点を置きつつ、全身の状態を改善する治療を行います。

 

遠絡療法の主なアプローチ法である経絡を中心に、

神経、内臓、循環、免疫、内分泌などの系統を調整します。

 

また、温熱療法やスーパーライザーを合わせることによって、精神的な安定をはかっていきます。症状によっては筋骨格系も手技で調整します。

 

 

 

筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CFS)の治療の概要

基本的に横になった安静な状態で行います。

 

遠赤外線マットとブランケットを使用することで、施術時間中(40~50分)に持続的に身体を温め、体温を少し上昇させながら全身の循環を高める治療を行っていきます。循環とともに体温が上がることで、免疫機能や自然治癒力、自律神経調整機能が高まり、症状からの恢復を早めます、

レーザーを使って、脳幹と頚髄の治療をします。

主に炎症や循環不全を改善し、障害されている機能を正常に整えていきます。

 

自律神経の調整のために胸椎や腰椎の治療も行います。

機能不全を起こしている臓器によって、治療する部位を調節します。

 

その後、手足の治療ポイントを使って、脳や間脳、脳幹の治療を行います。

脳内の神経炎症を抑えるための主要な治療部位です。

 

炎症の抑制と循環不全の改善によって、正常な機能の回復をはかります。

間脳と脳幹の治療は自律神経の中枢の治療にもあたります。

 

 

スーパーライザー(近赤外線)を用いて、星状神経節や上頚神経節(交感神経の中継点)、首や背中の脊柱などの治療を行います。

 

光と温熱によって乱れている神経を落ち着かせる作用があります。

 

 

 

状態に応じて 固まっている関節や筋肉を動かしたり、簡単なトレーニングを行って、

全身の状態、循環を整えます。

脳内の神経炎症が関与する難治性疾患への応用

 

◆線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎など全身の強い痛みや重度の疲労、睡眠障害、認知機能低下、その他多彩な症状を呈する疾患群

◆CRPSや手術後疼痛症候群、帯状疱疹後神経痛など末梢神経障害だけでは説明のできない慢性疼痛疾患群

◆パーキンソン病、パーキンソン症候群、舞踏病、ジスキネジア、ジストニアなど不随意運動を呈する疾患群

◆ALS、多系統萎縮症、視神経脊髄炎、多発性硬化症など進行性の神経変性疾患

◆関節リウマチ、SLE、シェーグレン症候群、皮膚筋炎など自己免疫疾患

 

現在も特効薬や明確な治療法が見つかっていない難病や難症状の多くは、脳内などの中枢神経系の神経炎症も関与していると考えられてきています。当治療室では大学病院や専門病院などで診断と治療を受けている方(検査をしても原因がみつかっていない方)に対して、少しでも症状の緩和や改善をはかるために遠絡療法と温熱療法を組み合わせた応用治療を行っています。

 

具体的には遠赤外線(オーラストーン)による弱温熱によって全身を柔らかく保温して全身循環を高めながら、遠絡療法で脳内のライフフローを改善します。脳内と全身の循環を効果的に高めることで相乗効果が期待できます。特に線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎、CRPS、帯状疱疹後神経痛などの痛みや倦怠感が中心となる疾患は、症状の程度や状態などによって差がありますが、症状の緩和や発作頻度の軽減が期待できます。神経変性疾患や膠原病などについては進行の抑制や症状の緩和を目的として行っています。現代でも治らない病気として考えられている疾患群についても、一般の標準治療を受けつつ、患者様の希望によって当院での施術を併用して行うことで、実際にわずかずつながらも改善していくことも少なくありません。