首下がり症候群(頭が上げられない)の治療


首下がりの症状には大きく分けて2つのタイプがあります。

 

1)首の前側の筋肉が強張って頭を前に引っ張ってしまう

2)首の後側の筋肉の力が弱くなり頭を支えられない

 

1)は主に脳の問題によって、筋肉の動きをうまく調整できなくなることが原因で起こります。パーキンソン病やジストニア、薬剤性ジスキネジアなどが原因疾患となる場合があります。

 

 

2)は主に延髄や首の神経の問題で、筋力が低下することによって起こります。多系統萎縮症やALS、重症筋無力症などの神経疾患、その他何らかの原因によって起こった延髄や頚髄の障害が原因となる場合があります。

 

その他、薬物の副作用や有害物質、ワクチンの副作用、感染症などに起因して発生することもあります。障害される部位によって1)や2)の症状が現れますが、首の後側の筋力が低下するほうが多くみられます。

 

また、首下がり状態が続くと、頭の重さを脊柱や別の筋肉で支え続けることとなるため、二次的に脊柱の変形や筋肉の硬直、嚥下障害、呼吸困難、内臓の圧迫による問題などが現れてきます。

 

はじめは「なんとなく頭が支えられない」、「まっすぐ向いていると疲れてしまう」というような軽い症状からはじまることが多いですが、時間が経つに従って「首が下がってひどい猫背になってしまう」、「腰が強く曲がってしまう」という状態になり、日常生活にも支障が出てしまいます。

(※急に首が上げられなくなるという場合もあります。この場合は感染や薬物、有害物質などが原因となっている可能性もあります。)

 

脊柱が変形して固まってしまうと回復はとても困難になってしまいます。できるだけ早期に大元の原因に対する治療を始めることが大切です。

 

治療では、原因となっている部位にアプローチすることが必要です。

1)の場合は脳や大脳基底核、2)では延髄や頚を治療します。

 

当院でおこなう遠絡療法は、経絡の応用によって脳の深部までアプローチすることができるので、一般的には治療困難な原因部位に対応できます。

 

また、必要に応じて二次的に負荷のかかっている脊柱や首の筋肉、背中や腰の筋肉、骨盤、下肢の筋肉などの循環の調整をあわせることによって、体全体のはたらきを整えていきます。

 

発症から時間が経過している場合には、延髄や首だけでなく脳や間脳、全身の筋骨系、自律神経系、血管系などにも問題が拡がっていることが多くみられます。当院では原因部位に重点を置きつつ、全身の状態を改善する治療を行います。

 

基本的に横になった安静な状態で行います。

低出力レーザーを使って、延髄と首の神経に対応する治療点(ツボのような点)を治療します。

 

原因となっている炎症や循環不全を改善し、障害されている神経の状態を回復させます。

背中や腰の痛みや変形を伴う場合は、胸椎や腰椎の治療も行います。

 

専用の木製棒で脳や末梢神経、首に対応する手足の治療点を治療します。

 

脳内の血流と循環状態を改善することで、中枢神経の機能を回復します。また、自律神経や内分泌系も調整するため、全身の状態が改善し、機能回復を促進します。

 

状態に応じて 固まっている関節や筋肉を動かしたり、必要なトレーニングを行って全身の状態を整えます。

 

神経と血液循環の治療に合わせて、リハビリを行っていくことで早期の回復を図り、セルフケアによる体調維持を目指します。

 

◆線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎など全身の強い痛みや重度の疲労、睡眠障害、認知機能低下、その他多彩な症状を呈する疾患群

◆CRPSや手術後疼痛症候群、帯状疱疹後神経痛など末梢神経障害だけでは説明のできない慢性疼痛疾患群

◆パーキンソン病、パーキンソン症候群、舞踏病、ジスキネジア、ジストニアなど不随意運動を呈する疾患群

◆ALS、多系統萎縮症、視神経脊髄炎、多発性硬化症など進行性の神経変性疾患

◆関節リウマチ、SLE、シェーグレン症候群、皮膚筋炎など自己免疫疾患

 

現在も特効薬や明確な治療法が見つかっていない難病や難症状の多くは、脳内などの中枢神経系の神経炎症も関与していると考えられてきています。当治療室では大学病院や専門病院などで診断と治療を受けている方(検査をしても原因がみつかっていない方)に対して、少しでも症状の緩和や改善をはかるために遠絡療法と温熱療法を組み合わせた応用治療を行っています。

 

具体的には遠赤外線(オーラストーン)による弱温熱によって全身を柔らかく保温して全身循環を高めながら、遠絡療法で脳内のライフフローを改善します。脳内と全身の循環を効果的に高めることで相乗効果が期待できます。特に線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎、CRPS、帯状疱疹後神経痛などの痛みや倦怠感が中心となる疾患は、症状の程度や状態などによって差がありますが、症状の緩和や発作頻度の軽減が期待できます。神経変性疾患や膠原病などについては進行の抑制や症状の緩和を目的として行っています。現代でも治らない病気として考えられている疾患群についても、一般の標準治療を受けつつ、患者様の希望によって当院での施術を併用して行うことで、実際にわずかずつながらも改善していくことも少なくありません。